2015年11月27日金曜日

【劇場霊】島崎の演技はうまいとは言えないが、恐怖の表情が画えになっていた。【YOMIURI ONLINE】



「リング」の中田秀夫監督が、「クロユリ団地」に続いて、
AKB48グループを率いる秋元康の企画で作ったホラーだ。

 主演はAKB48の島崎遥香=写真=。彼女がふんする売れない若手女優が、
新作舞台に端役で出ることになる。若さを保つため少女の生き血を浴びたという実在の女貴族、
エリザベート・バートリの物語だった。舞台にエリザベートの分身として、
関節部分が球体で自由に動く等身大の球体関節人形が持ち込まれる。
稽古が進む劇場で、人形が次々と人を襲う。

 「クロユリ団地」は日本的恐怖表現を生かしたJホラーの集大成だった。
罪の意識という心理的な怖さが、暗い雰囲気で描かれていた。
この映画はまるで違う。島崎のほか、足立梨花や高田里穂らがライバルの若手女優を演じる。
彼女らの友情や嫉妬の青春物語は、ホラーでもどこか雰囲気が明るい。
人形は早々に動きだし、人形目線の映像もある。そこにいるだけで怖い幽霊ではなく、
物理的に人間を襲うモンスターの怖さだ。

 ホラーという言葉が一般的でなかった頃、このジャンルは日本的な怪談と区別して
怪奇映画と呼ばれた。「吸血鬼ドラキュラ」で有名なハマー・プロの作品などがそうだ。
これは、かつての怪奇映画の復活ではないか。
現代日本へ移植すると安っぽくなる危険もあるが、それも引き受けた上で、
グラン・ギニョル(かつてパリにあった見せ物小屋)的な魅力を目指したのだろう。

島崎の演技はうまいとは言えないが、恐怖の表情がになっていた。

1時間39分。新宿ピカデリーなど。(小梶勝男)





http://www.yomiuri.co.jp/culture/cinema/creview/20151120-OYT8T50069.html



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